花の巻 4 [アート・文化]
裸婦
パイプをくゆらせながら
画家はカンバスに
一本の線を横に引いた
それが水平線になった
水平線から日が昇ると
画家はカタツムリを
水平線に這わせた
カタツムリはゆっくりと
渦巻き状の貝殻を脱いで
裸の女になると
水平線に横たわった
脱ぎ捨てられた貝殻は
みるみる入道雲になり
稲光が空を走った
女の乳房に
画家がナメクジを描くと
女が身もだえ
雨が降ってきた
波打ち際では
波と戯れていたカニが
海にさらわれて
ヨットが転覆した
画家は描くのをやめ
パイプをかみしめながら
自慰にふけった
2007-11-01 05:29
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コメント(2)
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この詩はすっと空想の世界に入り込めますね。同じような文体で自分も一本水平線を引いて、自分の想像の世界を描いてみたくなりました。自慰に至るのかもっと深みに入り込むのか。(^^ゞ
by kazu (2008-02-24 11:24)
kazuさん
コメント、ありがとうございます。
自己陶酔の彼方に見えるものが詩ではないかと思っています。
by 豊さん (2008-02-25 00:03)